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城木屋(落語散歩102)

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7つの外湯

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日本橋新材木町の城木屋の娘、お駒は非の打ちようのない美人の評判娘。 それに引き換え 店の番頭の丈八は四十を越えた醜男。 この丈八がなぜかお駒に惚れてしまった。 色目を使ったりするが、お駒はまったくの無関心、無頓着。 無愛想だ。 ついに丈八は艶書をお駒の着物のたもとへ忍ばせるが、お駒の着物をたたんでいた母親のお常に艶書が見つかってしまう。 お常からきびしく叱られ、この噂が店中にも広がり丈八は店にいたたまれず、店の百両を持ち出し上方の方へ逐電してしまう。 丈八はしばらくして上方から府中(駿府)、江戸へと戻って来る。 お駒が近々婿を取ると聞き、いっそお駒を殺して自分も死のうとお駒の寝所に忍び込む。 あいくちでお駒の胸元を突こうとしたがお駒が寝返りをうち狙いがそれて気づかれ、泥棒と騒がれて逃げ出す。 あわてて愛用の狼の上あごの根付けのついた 伊勢のつぼやの煙草入れとお駒への思いの歌を書いた短冊を落としてしまい、それから足がついて召し捕られてしまう。 丈八を取り調べるのは名奉行の 大岡越前だ。 越前から事の始まりはと聞かれ、 丈八 「そもそも国の始まりは大和の国。 郡(こおり)の始まりは宇陀の郡。 島の始まりは淡路島。 寺の始まりは橘寺。 棒の始まりは鹿島、香取。 香取とは香(にお)い取る、棒は木辺に奉ると書く」と棒使いの口上を並べ始める。 越前 「控えろ、そうではない。 駒の始まりを申せという」 丈八 「そもそもコマ(独楽)の始まりは菅相丞(かんしょうじょう)菅原道真公、筑紫博多の島へご流罪のおり・・・・何ぞよき慰みやなきやとお尋ね・・・梅の古木を切り刻みこれに金の心棒をつけ、コマと名づけて差し上ぐる。 ・・・・七日七夜回ったとあるが手前のコマは左様には回らん。 から暮れの六つまでは回る。 これを名づけて日暮しのコマ・・・・」と、今度は松井源水独楽(コマ)回しの口上を言い立てる。 越前 「控えろ、そうではない。 駒に恋慕の始まりを申せ」と、「娘子をと思えども駕篭の鳥にて手出しならねば」と丈八の書いた短冊を突きつける。 丈八 「白状申し上げます。 もとはと言えば 東海道五十三次から出ましたことでございます。 はじめお駒さんの色 品川に迷い、 川崎ざきの評判にもあんな女子を 神奈(かんな)川に持ったなら、さぞ程もよし 保土ヶ谷と、 戸塚まいてくどいても首を横に 藤沢の、 平塚の間も忘れかね、その内 大磯、こいそとお駒さんの婿相談、どうぞ 小田原になればよいと、 箱根の山にも夢にも 三島、たとえ 沼津、食わずにおりましても 原は 吉原、いまいましいと 蒲原立てましても、口には 由比かね、寝つ 興津、 江尻もじりいたしておりましたわけでございます」 越前 「東海道を巨細(こさい)にわきまえおる奴。 してその方の生れは」 丈八 「駿河の御城下で」 越前 「不忠( 府中)ものめ」 *もとは人情ばなし「」で、新材木町稲荷新道の白子屋の美人娘お熊の事件がモデルです。 落語と違いお熊は悪女で大岡越前の裁きを受けで処刑されました。 処刑の日にはの小袖を着ていたそうです。 *落語の主人公は丈八。 黄八丈を反対にした名で登場しています。 下げの所で生国は駿河(静岡県)だと言っていますが、円生は丈八を大阪弁で演じています。 この男はお駒への思いも通ぜず、お駒を殺そうとして自分も死のうとして果たせず、現場に多くの証拠品を残して行くような間抜でドジな中年のストーカーおやじで、なんだかおかし味と哀れさを感じさせる男です。 コマ回しや、棒使いの口上、東海道五十三次を織り込んだお駒への恋慕のくだりや、お駒への思いを和歌に詠むなどなかなか器用なところもあります。 材木屋の番頭なんかより講釈師にでもなったほうがよかったのでは。 *「」に続いて大岡越前が登場しますが、丈八のとぼけたような言い回しに振り回されているようで、下げのところでやっと面目を保ったという感じで、いつもの名奉行の裁きぶりはありません。 丈八にどんな裁きを下したのでしょうか。 お駒殺しは未遂に終わったのですから、死罪でなく 八丈島に流罪にしたのでは。 そうすれば丈八の名前にも、白子屋お熊の 黄八丈ともつながっていくのでは。 *城木屋があった「 日本橋新材木町」は、中央区堀留1丁目で稲荷新道は 椙森神社の西側の通り。 『』の白子屋と同じです。 * 「伊勢のつぼやの煙草入れ」 伊勢神宮の神域では獣の皮の持込みが禁じられていたので、紙で皮に似せて作ったつぼやの煙草入れが伊勢参りのお土産として人気があった。 「夕立や 伊勢のつぼやの煙草入れ 古なる光る強い 紙なり(雷)」(『』) * 「棒使いの口上に出てくる」 宇陀の郡は、今の。 古代の史跡が多く残るところ。 『』 * は、奈良県明日香村の聖徳太子生誕の地に建てられた太子建立七大寺の一つ。 「鹿島神流」・「香取神道流」があります。 『』 * 「コマ(独楽)回しの 」 先祖は富山の薬「反魂丹」の製造、販売の家で全国を売り歩く時になぐさみとしてコマを回していた。 江戸時代、大岡越前から香具師の元締めとしての役目をもらう。 今でも「源水独楽」という形、呼び名がある。 大岡越前の名が出てきて落語と時代も合っているようだ。 『』にも登場する。 独楽回しではないが。 * 「とコマの由来」についてはよく分からない。 配流地の大宰府で独楽回しでうさを晴らしたという話でもあるのだろうか。 「」というのがあるが。 *『』五十三次はこの落語では1番目の品川宿から19番目の府中宿(駿府)まで登場する。

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