本当 の 貧困 の 話 を しよう。 【書評】『本当の貧困の話をしよう』を読んでみて貧困について考えてみた|気取り屋ラプソディー

『本当の貧困の話をしよう 未来を変える方程式』石井光太

本当 の 貧困 の 話 を しよう

君たちが幸せをつかむために今知るべきこと 最底辺のリアルから始まる「新しい世界」のかたち ・日本は国民の7人に1人が貧困層 ・なぜ川崎の少年たちは中学生を殺したのか? ・世界各地の子供兵のあまりに悲惨な現実 ・クリスティアーノ・ロナウド、孫正義、安室奈美恵…… 「貧困の壁」を突破した先人たちの勇気 格差の固定化、少年犯罪、メガスラム、ストリートチルドレン、人身売買、売春、薬物依存、世界各地の少年兵……すべての「繋がり」と貧困問題の「構造」を解き明かし、解決へ向けた未来へのヒントを示す著者集大成となる一冊。 人生への向き合い方が「180度変わる」感動の講座! どうやれば、貧困から脱出できるのか。 どうやれば、人生を輝かすことができるのか。 どうやれば、社会や世界をより良いものに変えることができるのか。 僕が示すのは、人生や社会に革命をもたらすための方程式だ。 きちんと身につければ、君が置かれている環境や君がいる社会を変えることができる。 「貧困」とそれが原因で起こる様々な社会的、あるいは当事者の問題について知りたければ、この一冊を読んでおけば間違いないと思います。 時に罪を犯した人間に刑務所にてインタビューしたり、時にスラムで暮らして赤痢にかかって苦しんだりと、貧困についてデータで語るだけでなく、著者は肌感覚で貧困について理解しているので、簡素な言葉で語られていますが内容はとても深く重いものがあります。 おしいのは、貧困と環境問題についてはあまり書かれていないことでしょうか。 ここまで網羅的に書くのなら是非、貧困と環境問題についても、一章使って書いてほしかった。 また自分たちにできることとして人との出会いなどを大切にすることが書かれていました。 ですが何も本の中で紹介されたような社会活動をしなくとも、できることがあると、もっと書いてほしかった。 例えば、労働者を不法に扱う搾取ビジネスに加担しないことです。 バナナ、チョコレート、コーヒー、パーム油などのプランテーション農場は搾取ビジネスの典型例です。 これらの商品やこれらを含む加工食品を買うことは搾取ビジネスに加担していることになります。 大手企業の商品だから、と信用してはいけません。 麻薬や銃を買えば法で罰せられますが、搾取ビジネスで作られた農産物を買っても、罰する法律はないのです。 名の知れた大手企業でも安ければ、平然と搾取ビジネスによって作られた農産物を買いあさります。 ひどいのは何も暴力団や麻薬組織だけではないのです。 『フェアトレード』と印刷された商品を買うことで搾取ビジネスに加担せずに済み、現地の労働者も貧困から脱することができます。 (但し、信用のおける機関が発行したマークのモノを買おう!)また、パーム油には「RSPO」という持続可能な生産方法で育成された認証マークがあります。 これは環境問題に対する認証マークという側面が強いのですが、環境に配慮している会社が、従業員を奴隷のように扱うとは考えにくいので、搾取ビジネスに加担しないで済む指標になるかと思います。 こういった商品は、初めは「高すぎる!」 と感じるかもしれませんが、この値段が現地の会社も従業員も、環境にも負荷が少ない、「正当な対価」なのだと知ることが重要です。 100円程度で買うことができるこの商品は、従業員や環境に配慮しても尚、本当に100円程度で儲けがでるのか? SDGs(持続可能な発展を考慮したそれぞれの目標)にかなった商品なのか? 安いものを買うときは、自問自答することをお薦めします。 それが、大した才能もない凡人が、一人でもできる一番簡単な社会貢献です。 データに関しては一見知っているものが多い話なのかと思ってたら、読んでびっくり。 貧困問題の本質を、現場取材を重ねてきた筆者ならではの視点でえぐり出していて衝撃的。 貧困がどれだけ子供の心に自己否定感を生むか、さまざまな事件の背景や関係者の肉声からは、深く考えさせられました。 貧困と少年犯罪とか、薬物やセックスとの結びつきはまさに「学校じゃ教えない」話で、世界各地の少年兵や、スラムの児童労働者たちのリアルな生活も興味深かったです。 この筆者のヒット作『絶対貧困』が海外のストリートチルドレンに焦点をあてた解説本なら、こちらは国内外を網羅した決定本といった感じです。 国内外悲惨な現実を示すだけでなく、希望となるさまざまなNPOの取り組みやソーシャルビジネスの最前線も扱っているのがよかったです。 こんな本に高校のときに出会いたかった。 17歳に向けた体裁で書かれてますが、現代の貧困問題を総括的に扱った良質な本で、大人こそ読むべき一冊です。 ぜひとも、社会科の教科書に採用してもらいたいほどの内容です。 子供たち全員がこの書で学び、これからの日本と世界を変えていってほしいと思いました。 上級国民・下級国民と二層に分断された日本。 日本は絶対的貧困ではなく、相対的貧困だからと格差を容認(黙認)されてしまっているようですが、この本を読んで納得したことがあります。 海外と異なり、日本では富裕層(者)と貧困層(者)が同じ地域に暮らしているので、隣人との貧富の差を超身近に嫌というほど感じなければならない。 同じ教室に金持ちと極貧の子が、毎日同じ教室で学んでいるのだから、毎日毎日自己否定感を増大・拡大していきます。 精神的に非常にきついものだろうと思います。 子供にとってはトラウマになり、後の人生に濃い影となって付きまといます。 コロナ蔓延以降の貧困を憂慮していますので、本書を手に取りました。 世界各国の貧困の状況をつぶさに見てきた筆者の経験から貧困について様々な点からアプローチをしていました。 「これまで数十カ国のスラムで暮らしてきた 97p 」の経験を筆者はしてきたようです。 それはそれで凄いことですね。 「日本は国民の7人に1人が貧困層 18p 」という状況に驚いています。 「一人世帯で年間122万円未満で生活している人たちが貧困層」だということでした。 先進国に限れば世界的に見ても貧困大国のようでした。 「ひとり親」「非正規雇用」「低学歴」「病気」などの要因 20p を挙げていました。 現在のコロナ・ウィルスの影響により、今後この貧困層がますます増加するであろうことは目に見えています。 コロナの影響での貧困家庭をどのように把握し、何ができるのかを知るために読んだようなものです。 「女性の場合は年収200万円以下が全体の約4割」という状況を示されると、貧困の状況に置かれている人の多さを知ることになります。 そんなことも知らないのか、と言われそうですが、この層に政治もマスコミもスポットライトをあてていかないと国民共通課題にはなりえません。 「自己否定感」も大きく、筆者は「心のガン 30p 」と評していました。 それは「劣等感」「あきらめ」「自暴自棄」につながるわけで、人としてこの世に生まれて、貧困から這い出ることのできない人々の人生を考えるとやるせなさが募ります。 第2講の「途上国のスラムで生きる」での「日本には海外のスラムにあたる貧しい人たちが暮らす地区が存在した。 71p 」の状況を見知っています。 大阪万博以前でもまだ貧困層の住む地区が普通に都市部に存在していました。 思春期の頃にそのような場所に足を踏み入れた時の衝撃は忘れられません。 「粗末なバラックを建てて暮らしていたんだ。 72p 」とありました。 バラックかどうかは分かりませんが、それに近い雰囲気は確かです。 その後、様々な改良計画によって、現在はそんな雰囲気を微塵も感じさせていませんが、行政の働きの効果を目の当たりした世代です。 昔の貧困を知っているわけで、本書を読みながら当時を思い出しています。 「生活保護世帯の4人に1人が大人になっても生活保護を受けている。 208p 」の言葉も重く受け止めています。 格差社会がそのまま引き継がれていく実情がここに存在していました。 政治課題ですし、行政の出番です。 そしてマスコミの出番でもあります。 貧困の実情を本書で少しでも知り得たのは良かったと思っています。

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『本当の貧困の話をしよう 未来を変える方程式』石井光太

本当 の 貧困 の 話 を しよう

17歳ぐらいの読者を念頭に置いている。 どうすれば貧困から脱出できるか 1977年生まれの石井さんは2005年『物乞う仏陀』でデビュー、いきなり開高健ノンフィクション賞、大宅壮一ノンフィクション賞にノミネートされた。 アジアの路上で出会う子供のもの乞いや障害者の背後にある現実を描いた壮絶なルポだった。 さらに11年の『レンタルチャイルド』(新潮社)が第33回講談社ノンフィクション賞にノミネート。 東日本大震災に関連した『遺体-震災、津波の果てに』は各メディアにとりあげられ、いちだんと注目されるようになった。 日本の少年犯罪や、貧困の問題にも関心が深い。 『「鬼畜」の家』(2016年)、『43回の殺意』(2017年)、『漂流児童』(2018年)、『虐待された少年はなぜ、事件を起こしたのか』(2019年)など関連する著書も多い。 各地でしばしば講演に呼ばれる。 本書はそうした何百回という講演をもとに、改めて単行本としてまとめ直したものだ。 どうすれば貧困から脱出し、人生を豊かにすることができるか。 さらに社会や世界をよくすることに貢献できるか。 本書は長年、貧困や非行の現場を歩いて多くの当事者にインタビューしてきた石井さんの熱い思いが詰まっている。 日本は7人に1人が貧困層 「第1講 すぐそこにある貧困」、「第2講 途上国のスラムで生きる」、「第3講 底辺に落ちた子供たち」、「第4講 学校じゃ教えないセックスの話」、「第5講 貧困と少年犯罪」、「第6講 格差を越えて、未来をつくる」に分かれている。 日本と海外の話が混じって登場する。 その中でなるほどと思ったのは、「貧困率」の話だ。 日本は7人に1人が貧困層だという。 これは最近しばしば言われているが、本書で納得したのは、その貧困層が日本では一般層と混じって暮らしているという指摘だ。 海外では、貧困層は特定地域に固まって住んでいることが多い。 すると、その地域の中では相対的に平等に近い。 ところが日本のように「非貧困層」と混在していると、いろいろな意味で「貧困層」の人はより強く劣等感や疎外感を持ちやすいというのだ。 これは確かにそうだなと思った。 たぶん昭和20年代の日本を考えると、わかりやすい。 周囲が皆貧しいから、靴下やズボンにツギが当っていてもさほど気にならない。 いまならすぐに囃し立てられる。 いじめにあいやすい。 「7人に1人」という比率が多いとか少ないかではなく、地域の少数者として点在して暮らすことの辛さがある。 逆に言えば、そうした少数者の子供たちが、はじき出され、ゲーセンなどでたむろし、万引きなどをしたり、ワルの先輩の傘下に入ったりしやすい。 そこで初めて「仲間」が形成されるからだ。 幻覚に24時間苦しめられる 本書は「貧困」に起因するマイナスの事例として、川崎の中一男子殺害事件、三鷹ストーカー殺人事件などを取り上げている。 一方、這い上がった有名人では、ソフトバンクの孫正義氏、安室奈美恵さん、サッカーのロナウド選手、歌手のレディー・ガガなどが登場する。 それぞれに知られた話ではあるが、教訓が詰まっている。 「第4講 学校じゃ教えないセックスの話」では、少年院の入所者で、女性の場合は「覚せい剤取締法違反」が24. 覚せい剤でクスリ漬けにし、売春させて稼ごうとする悪い男に引っかかっているのだ。 男子は覚せい剤がベスト5に入っていない。 石井さんは、こうした違法な薬物類は深刻な後遺症を残すということも強調する。 救命センターに運ばれてくる自殺企図者の半数は薬物依存患者だという(抗うつ剤を含む)。 さらに石井さんは、精神病院や医療少年院の治療現場を知っているかと畳み掛ける。 大麻の後遺症でアリの群れに追いかけられる幻覚に24時間苦しめられている。 あるいは幻聴を打ち消すために、コンクリートの壁にひたすら頭を打ち続けている人がいる。 薬物の常習は深刻な後遺症を残すのだ。 貧困は自暴自棄につながり、さらに自分の人生をめちゃくちゃにしかねない。 本書では、そうならないために何をすべきか、力説している。 特に「心のレベルアップ」「自分の未来について考えていく力をもつこと」を強調する。 このあたりは期せずしてベストセラー、『君たちはどう生きるか』とも重なる。 もちろん、だれもが孫正義氏や安室奈美恵さんにはなれないが、本書では、日本の社長役130万人のなかで、高卒37.

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【メモ公開】本当の貧困の話をしよう

本当 の 貧困 の 話 を しよう

今、日本人の7人に1人が「貧困層」に該当する時代である。 そう聞いても、ピンとこないかもしれない。 日本は経済大国で、自分もそこそこ稼いでいるし、子供たちにも不自由はさせていない。 貧困などとは無関係である。 そう思う人が少なくないだろう。 「日本が経済大国とされるのは、GDP(国内総生産)の数値がもとになっています。 これは、国民の等価可処分所得の中央値の半分に満たない世帯員の割合を指します。 具体的な数字で言うと、1人世帯で年間122万円未満で生活している人が貧困層となり、日本ではその割合が15・7%。 「今の日本で、貧困は何を生むのか。 それは、『自己否定感』です。 言い換えれば、劣等感や諦め、自暴自棄と言ってもいい。 貧困=発展途上国のストリートチルドレンをイメージし、それと比べたら日本は福祉制度が整っているのだからマシだろうと感じるかもしれません。 日本の多くの学校では、大半のクラスメートがサラリーマン家庭の子供であるが、その中に生活保護家庭の子供も含まれることがある。 本書では、2013年に起きた三鷹ストーカー殺人事件や、2015年に起きた川崎中1男子生徒殺害事件などを例に挙げながら、貧困の中で育った子供たちの自己否定感から始まる、負の連鎖の悪影響についても言及している。 「貧困の中で人生をスタートさせた子供たちは、社会の中に自分の居場所を見つけられず、希望を持つことができません。 生活保護世帯の4人に1人が、大人になっても生活保護を受けているというデータもあります。 そして、犯罪や売春、薬物依存などの問題とも結びつきやすくなる。 国によるお金を用意するだけの福祉制度では、根本的な解決にはなっていないことの表れです」 近年、社会問題となっている特殊詐欺や高齢者虐待などは、貧困に対する社会の無関心と、そんな社会をつくり上げた今の大人たちに対するしっぺ返しともいえると著者。 一方で、子供時代に尊敬できる大人と出会うことで、貧困問題に端を発する社会問題も変えていけると説く。 その責任を負うのが、我々、大人一人一人だ。 「何も、NPO活動で貧困撲滅に取り組むなど、大それたことをする必要はありません。 例えば、近所の子供たちの登下校時に挨拶をする。 そんなささいな関わりでも、自分の存在を肯定されたように感じてくれるかもしれません。 あるいは、自分の仕事に情熱を持って取り組む姿勢を見せるのもいい。 子供たちは驚くほどしっかりと大人たちを見ています。 日本大学芸術学部文芸学科卒業。 国内外の貧困や事件などをテーマに取材・執筆活動を行う。 「 」「 」「 」「 」「 」など著書多数。

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