機能性rna。 ノンコーディングRNA

DNAとRNAの違いは?それぞれの機能や特性と構成の差に注目!

機能性rna

概要 [ ] ノンコーディングRNAとは、タンパク質に翻訳されるに相対して付けられた、「それ以外の」RNAの総称に過ぎず、以下に述べるように20程度の低分子量のものから100 kbにも至るような様々なノンコーディングRNAが報告されている。 その分子量の違いから容易に推測されるように、機能分子としてのノンコーディングRNAに共通点は見られず、従ってその生理機能も多様である。 ノンコーディングRNAはしばしば 機能性RNA(functional RNA)と言い表されることがあるが、一部のでみられるように、転写産物であるRNA分子それ自体には生物学的な機能がなく、その遺伝子座で転写が起こることが重要である場合や、そもそもノンコーディングRNA遺伝子そのものが生体にとって必要でない場合もみられるため、厳密にはすべてのノンコーディングRNAが機能性RNAであるわけではない。 最も有名で量も多いノンコーディングRNAは、翻訳過程で機能する転移RNA()とリボソームRNA()であるが、それ以外にも、1980年代初期の低分子量核内RNAの発見や、1990年代後期のの発見など、基本的な代謝から個体発生や細胞分化までの実に様々な生命現象に関与するノンコーディングRNAが数多く見出されており、ノンコーディングRNAは以前考えられたよりもはるかに重要な役割を有すると考えられるようになった。 解読とトランスクプトーム解析が明らかにしたことの1つとして、ヒトゲノムのわずか2%しかをコードしておらず、ヒトゲノムの7割以上はタンパク質のコードしないncRNAとして転写されることがあげられる。 ncRNAはこれまで、RNAプロセッシング、RNA分解、などの遺伝子発現の様々な段階に影響を与えることが知られている。 ノンコーディングRNAの分類 [ ] RNAの構造は一次構造(塩基配列)、二次構造(相補鎖形成による、バルジ、などの構造)、三次構造(分子の全体あるいは一部がとる立体構造)の観点から述べることができるが、ノンコーディングRNAの一部は進化的に保存された一次構造、あるいは二次構造を含むことが知られており、これらの構造上の特徴が生化学的な分子活性に重要であることが示されている。 このような構造上の特徴をもとに、ノンコーディングRNAは大きく以下のように分類することができる。 転移RNA(transfer RNA、tRNA) [ ] (てんい-、transfer RNA)は73〜93塩基の長さの小さなRNAであり、翻訳反応において、合成中のポリペプチド鎖にアミノ酸を転移させるためのアダプター分子である。 通常tRNAと略記されるが、運搬RNA、トランスファーRNAなどとも呼ばれる。 アミノアシルtRNA合成酵素の働きにより、それぞれ特定のアミノ酸と結合してアミノアシルtRNA(amino acyl-tRNA)となる。 tRNAに含まれるアンチコドンはリボソーム中でmRNA上の塩基配列(コドン)を認識し結合する。 この過程でmRNA上の塩基配列に対応した正しいアミノ酸がポリペプチド鎖に取込まれる。 また、ある種のtRNAはレトロトランスポゾンの逆転写反応のとして機能することが知られている。 リボソームRNA(ribosomal RNA、rRNA) [ ] は翻訳反応を司るリボソームの主要な構成成分であり、通常rRNAと省略して表記される。 細胞内でもっとも大量に存在するRNA種である。 では、リボソーム大サブユニット(60Sサブユニット)に28S, 5. 8S, 5S RNAが、小サブユニット(40Sサブユニット)に18Sが含まれている。 一方、には大サブユニット(50Sサブユニット)に23S, 5Sが、小サブユニット(30Sサブユニット)に16Sが含まれている。 リボソームは40種類以上のリボソームタンパク質を含むリボ核酸複合体であるが、原核生物ではペプチド結合の生成反応が大サブユニット中で進行し23S rRNAが触媒活性に関与する事がわかっている。 rRNAは最も詳細な研究が行われているノンコーディングRNAである。 核内低分子RNA(small nuclear RNA、snRNA) [ ] はの核内に存在する低分子RNAの一群であり、他のタンパク質とともにRNA(hnRNAからを除去する)やrRNAプロセシングを初めとした様々な反応過程に関わっている。 snRNAととの複合体を核内リボタンパク質複合体(small nuclear ribonucleoprotein complex、)と呼ぶ。 snRNAの中でもウリジンに富んだ配列を持つものはU snRNA(あるいはU RNA)と呼ばれ、U1、U2、U4、U5、U6は標準的なRNAスプライシング反応に関与していることが知られている。 これらのU snRNAを含むsnRNPは、スプライソソーム(spliceosome)と呼ばれる巨大酵素複合体を形成する。 核小体低分子RNA(small nucleolar RNA、snoRNA) [ ] はrRNAや他のRNAの化学的修飾(メチル化やシュードウリジル化など)に関与する一群の低分子RNAであり、標的核酸分子と相補的塩基対を形成するガイドRNAである。 snoRNAはと複合体(small nucleolar ribonucleoprotein complex、snoRNP)を形成し、多くは核内のに局在する。 snoRNPには化学修飾をする酵素タンパク質が含まれていることが多い。 の伸長反応を行うに含まれるRNA構成要素(telomere RNA component、)はsnoRNAの一種であり、テロメラーゼに含まれる逆転写酵素(telomere reverse transcriptase、)はTERCを鋳型としたDNA合成によりテロメアの伸長を行う。 シグナル認識複合体 RNA(signal recognition particle RNA、SRP RNA) [ ] (signal recognition particle、SRP)は原核生物および真核生物において広く保存されたRNAタンパク質複合体であり、タンパク質の輸送・分泌に重要な役割を果たしている。 SRPは翻訳中のリボソームから輩出される新生ポリペプチドのアミノ末端に存在するを認識し、原核生物では細胞膜、真核生物では小胞体に存在するSRP受容体を介して、翻訳中のリボソームを分泌タンパク質輸送体へと受け渡している。 真核生物のSRP RNAはしばしば7S RNAと、原核生物のそれは4. 5S RNAと呼ばれる。 小さなRNA(small RNA) [ ] 小さなRNAは文字通り20~30塩基の非常に低分子のRNAで、ウイルスなどに由来する長い二本鎖RNAにからつくられを引き起こす small interfering RNA 、ゲノムにコードされ標的遺伝子の発現調節を行う microRNA 、生殖細胞においてトランスポゾンなどからゲノムを守るpiRNA PIWI-interacting RNA などが知られている。 これらのsmall RNAは、由来や生合成過程は大きく異なるものの、成熟体は20~30塩基程度の一本鎖RNAであり、Argonauteファミリー蛋白質を核とするRNA誘導サイレンシング複合体(RNA-induced silencing complex、RISC)をエフェクターとして機能するという共通点をもっている。 RISCの分子機能および形成過程については後述する。 長鎖ノンコーディングRNA(long noncoding RNA、lncRNA) [ ] 長鎖ncRNAは多様な機能を担っていることが明らかにされているが、これまでに解析された例の多くは、核内構造体構築あるいはエピジェネティック制御に関与している。 核内構造体構築ではNEAT1やMALAT1、エピジェネティック制御では、哺乳類のに重要な役割を果たすXist RNAや、同じくの遺伝子量補償に関与するroX RNAなどが挙げられる。 上記以外に多数の研究報告例があるものとしては、分裂酵母の減数分裂期におけるRNAの安定性制御に関わるMeiRNAや、のと結合し、転写の活性化に関与することが知られているSRA(steroid hormone RNA activator)などが知られている。 小分子RNAとくらべてlncRNAの作用様式は極めて多種多様であり、全てのlncRNAに共通するエフェクター複合体は存在しないと考えられている。 しかしながら、lncRNAの発現には以下のような傾向が見られることが知られている。 1.mRNAに比べて遺伝子あたりの発現量が少ないものが多い。 2.細胞種特異的、あるいは時期特異的に発現するものが多い。 3.細胞の核に局在するものが多い。 4.種特異的なものが多い。 あらためて述べるまでもなく、これらはlncRNA全体を俯瞰したときに観察される偏りに過ぎないが、一般的にlncRNAは進化速度の速い分子種で、細胞分化や発生における遺伝子発現制御に重要な役割を果たす可能性が指摘されている。 環状RNA(ciecular RNA、circRNA) [ ] RNAの3'末端付近を5'スプライス部位、5'末端付近を3'スライシング部位としてRNAスプライシングが行われると、環状RNAが産生される。 このような環状RNAの多くはタンパク質をコードしていないと考えられている。 いくつかの環状RNAはmiRNAと相補的な配列を含んでおり、これらのmiRNAと結合することで、miRNAによる遺伝子発現抑制の効果を弱めている。 mRNAの非翻訳領域 [ ] 原核生物・真核生物を問わず、いくつかのmRNAでは、タンパク質として翻訳されない領域(:untranslated region: UTR、)の中に、 シスに(つまり連結した配列上で)機能するを含む場合がある。 特に原核生物ではこのような制御配列が多く同定されており、RNAの分子機能を考える上でUTRに含まれる制御配列は非常に重要である。 その他のncRNA [ ] 上記のような分類に当てはまらない、現時点ではやや特殊と思われるノンコーディングRNAも多数報告されており、その例をいくつか挙げておく。 gRNA gRNA(guide RNA)は、におけるキネトプラスチド()のに働くRNAである。 におけるでは、mRNA上で数塩基の(U)が挿入または除去されることが知られているが、gRNAはmRNAの対応する配列に相補的に結合する配列を含み、編集装置である editosomeの一部としてをガイドする。 なお、単に"guide RNA"というときは、相補的結合によってRNA・タンパク質複合体を標的核酸分子へとガイドするRNA(snoRNAを指すことが多い)という広い意味で用いられることが普通である。 このようなものが一般的かどうかはまだ明らかでない。 RNAサイレンシングによる遺伝子発現制御 [ ] 小さなRNAは、共通するエフェクター複合体であるRNA誘導サイレンシング複合体(RNA-induced silencing complex、RISC)を介してその機能が発揮される。 以下では主にRISCの形成過程と機能について述べる。 小さなRNAは二本鎖RNAから生産される 小さなRNAのうち、siRNAとmiRNAは由来や構造は異なるが、ともに生合成の中間体として二本鎖RNAの状態を経由するため、RISC形成過程には共通点が多い。 siRNAは感染など外因性の長い二本鎖RNAや両方向あるいは逆位反復配列の転写などによる内因性の長い二本鎖RNAを前駆体とし、Dicerとよばれる酵素による切断を受け、siRNA二本鎖として生合成される。 これに対して、小さなRNAのエフェクター複合体であるRISCにはArgonaute蛋白質と一本鎖RNAのみが含まれる。 このとき、最終的にRISC中で標的mRNA認識に与るものをガイド鎖、排出される方の鎖をパッセンジャー鎖と呼ぶ。 miRNAを含むRISCの場合、二本鎖miRNAのうちいずれがガイド鎖になることがあらかじめ決まっていることが多く、5'末端の塩基対がより解離しやすい方がガイド鎖となる。 Pre-RISCは小分子RNAとArgonauteが自発的に結合することによって作られるわけではなく、Hsc70やを中心とするによるATPの加水分解が必要であることが知られている。 piRNAのような一本鎖RNAもRISCを形成するがこの機序は十分に明らかになっていない。 取り込まれた二本鎖のうちどちらの鎖がガイド鎖でどちらの鎖がパッセンジャー鎖になるかはRNA二本鎖がArgonauteに積み込まれる際の方向によってすでに運命づけられている。 Argonauteとガイド鎖のリン酸骨格の間には多くの特異的相互作用が生じることが知られている。 一方でパッセンジャー鎖とArgonauteの間に生じる相互作用は極めて少ない。 Argonaute中でのRNA二本鎖の引き剥がしと片鎖の排出 Argonauteに方向性をもって積み込まれたRNA二本鎖は少なくとも2つの異なる様式で一本鎖化され、RISC(mature-RISC)を形成する。 RNAを切断する活性を活性という。 ArgonauteのPIWIドメインはRNase H様の構造をもっており、Argonauteの中にはスライサー活性を持つものがある。 例えば、ヒトやショウジョウバエのAgo2はスライサー活性をもつが、ショウジョウバエAgo1のスライサー活性は非常に弱く、ヒトのAgo1、Ago2、Ago4はスライサー活性を持たない。 スライサー活性をもつヒトやハエのAgo2に、siRNA二本鎖のような完全に相補的な二本鎖RNAが積み込まれるとパッセンジャー鎖の中央が切断される。 この切断によってガイド鎖-パッセンジャー鎖間の熱力学的安定性は大幅に低下し、パッセンジャー鎖が排出され、ガイド鎖のみがArgonauteに固定された状態、すなわちRISC(mature-RISC)が生じる。 しかしそれでもArgonauteによってゆっくりと二本鎖が引きはがされ、Argonauteにしっかりと固定されていない方の鎖、すなわちパッセンジャー鎖が排出されRISCが形成される。 RISCの機能 [ ] は自身がもつガイドRNAと相補的な標的配列をもつRNAに結合し、標的を切断したり、翻訳の抑制やポリA鎖の短縮などを引き起こす。 一般に小分子RNAがどのように働くかはsmall RNAの生合成過程よりもむしろ、取り込まれるArgonaute蛋白質の性質に依存する。 いいかえれば、small RNAはArgonauteを標的RNAへ導くガイドとしての働きをしているだけであり、実際の機能を発揮しているのはArgonaute蛋白質である。 スライサー活性をもつArgonauteがガイド鎖と相補性の高い標的配列に結合した場合にはパッセンジャー鎖の切断と全く同じメカニズムにより標的mRNAを切断する。 これに対してスライサー活性を持たないArgonauteの場合、あるいはガイド鎖と標的配列の中央付近にミスマッチが存在する場合には切断は起こらないが、標的配列上に結合し、下流のサイレンシング因子をよびこむ足場として機能する。 一般には相補的な長い二本鎖RNAから作られるため、siRNAの配列は自身が由来するRNAと完全に相補的であり、その切断を行うことができる。 例外として哺乳類のmiR-196はHOXB8 mRNAに対してほぼ完全に相補的であり、その切断を行うことが知られている。 またsiRNAなどの小分子RNAは1つの細胞の中で働くわけではなく、細胞間、あるいは組織間あるいは世代間のシグナルとして働くことが知られている。 シグナルとして働く場合もRISCあるいは何らかのRNA-蛋白質複合体としてシグナル伝達していると考えられている。 ノンコーディングRNAによる核内構造体構築 [ ] 哺乳類細胞の核内の核内構造体は膜構造を持たず染色体テリトリー(クロマチン間領域)という領域を形成している。 クロマチン間には様々な核内構造体が存在しており下記のようにまとめられている。 このことから核内構造体は、局所的に特異的制御因子の濃度を上昇させることにより、効率的に遺伝子発現制御を行っていると考えられる。 核内構造体は細胞内の巨大分子装置の生合成の場でもある。 、カハールボディではそれぞれ、という巨大なリボヌクレオプロテイン(RNP)複合体の生成が行われている。 核小体ではの転写、RNAプロセシング・修飾、そして蛋白質との会合が秩序だって行われている。 一方でRNA成分を必要としないPMLボディではに付加されるSUMO修飾を介した蛋白質相互作用によって構造構築が起こる。 多くの核内構造体は動的な構造である。 多くの核内構造蛋白質は構造体外の核質にも拡散して存在しており、構造体と核質間を一定の速度で出入りしている。 このことはSRSF1が核スペックル内で複数の構成因子と相互作用していることに起因すると考えられる。 核スペックル 核スペックルは核質のクロマチン間に存在し、前駆体mRNAスプライシング因子を多く含む核内構造体である。 1細胞あたり25~50個程度存在し、主にスプライシング因子群の貯蔵・会合・修飾の場と考えられている。 別名にクロマチン間顆粒ともよばれる。 Tripahiらはにスプライシング因子を核スペックルに局在させる機能があり、選択的スプライシングを調節しているという学説を提唱している。 パラスペックル パラスペックルは2002年にFoxらによって発見された核内構造体である。 この核内構造体はしばしば核スペックルの近傍に局在することからパラスペックルと命名された。 電子顕微鏡観察からパラスペックルの平均直径は360nmであり1993年にVisaらによって報告されていたクロマチン間顆粒関連構造(interchromatin granules associated zone、IGAZ)と同一のものであることが明らかになった。 一方で成人マウス組織ではごく一部の細胞でしかパラスペックルは観察されない。 このことからパラスペックルは特定のストレス下で形成されることが示唆された。 パラスペックルは後述する通りNEAT1という特異的なncRNAを中心に形成される。 またパラスペックルに局在している40種類以上の蛋白質の大部分がであることから、ncRNAによって多数のRNA制御因子が集約した構造体と考えられている。 一方でパラスペックルの機能については、知見が乏しいがRNAエディティングによって高度にイノシン化されたmRNAをパラスペックル上に係留し、外的な刺激に応答したと翻訳を誘導する可能性が提唱されている。 パラスペックル構造はRNase処理によって崩壊することからRNA分子が構造維持に関わることが示唆された。 2009年に4つのグループからほぼ同時にパラスペックルに局在するNEAT1 ncRNAがパラスペックル形成・維持に必須であることが報告された。 アンチセンス化学修飾オリゴヌクレオチドを用いた核内ノックダウン法を用いて用いてNEAT1を分解したところ、パラスペックル構造は崩壊した。 脚注 [ ] [].

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核小体の機能~RNA系の重要性

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も参照。 RNAポリメラーゼ RNA polymerase とは、リボを重合させてを合成する( RNA合成酵素)。 DNAの鋳型鎖(一本鎖)の塩基配列を読み取って相補的なRNAを合成する反応 を触媒する中心となる酵素を DNA依存性RNAポリメラーゼという(単に「RNAポリメラーゼ」とも呼ぶ)。 では、を鋳型にしてやの多くをする がよく知られる。 このほかに35S 前駆体を転写する、とU6 snRNA、前駆体等を転写する などがあり、この三種はDNA依存性RNAポリメラーゼと呼ばれる。 また、RNAを鋳型にRNAを合成する もあり、多くので重要な機能を果たす以外に、の増幅過程にも利用される。 鋳型を必要としない物もあり、初めて発見されたRNA ポリメラーゼであるポリヌクレオチドホスホリラーゼ(ポリヌクレオチドフォスフォリレース、ポリニュークリオタイドフォスフォリレース)もそのひとつとしてあげられる。 この酵素は実際にはの内でとして働くが、試験管内ではRNAを合成することができる。 これを利用して一種類のからなるRNAを合成し、それからされるを調べることで初めての決定が行われた。 真核生物のもつpoly A ポリメラーゼも同様に鋳型を必要とせず、Pol II転写産物の3'末端にpoly A 鎖を付加することで転写後の遺伝子発現制御機構の一端を担っている。 真核生物の転写装置( RNAポリメラーゼ)は、Pol I、Pol II、Pol IIIの3種がある。 それぞれ10種類以上ものサブユニットから構成される(基本的には12種)。 また、古細菌のRNAポリメラーゼもサブユニット数が多く、9-14種のサブユニットから構成されている。 ではいくつかのサブユニットが省かれているが、一部のには真核生物の12種類のサブユニットが全て保存されており、真核生物の持つ3種のRNAポリメラーゼの祖先型と考えられている。 古細菌のRNAポリメラーゼは、Aサブユニットが2つに分かれている特徴がある。 一方で、真正細菌のRNAポリメラーゼは全体的に真核生物や古細菌のものより単純な構成である。 は遺伝子上流の配列を認識して転写を開始する役割を担っている。 それぞれの項で各サブユニットを紹介する。 一方、伸長段階になるとコア酵素のを含む様々な活性を示す。 これにより、RNAポリメラーゼホロ酵素がUPエレメントを認識しないことが明らかにされた。 実験に用いられた生物はである。 N末端ドメインは8〜241付近を含む28 、C末端ドメインは249〜329 末端 付近を含む8 kDである。 グルースとエブライトらはまた、両者が明確な構造 をとらない、少なくとも239〜251の13アミノ酸による連結鎖でつながっていることも発見した。 しかし、UPエレメントに対して強力に結合し、DNAとホロ酵素とのつながりをさらに強固に補う。 で弱く結合する。 このため、上流へと吐き出される転写産物が鋳型鎖との結合を脅かしたとしても、RNAポリメラーゼの活性に大きな影響はない。 ホロ酵素の活性部位を構成するタンパク質の一つであり、であると結合する3つのを持つ。 したがってこの2つの抗生物質は転写の伸長をする。 ただし、ストレプトリジギンは開始段階に効果があるとされている。 これは、開始段階にも10ntのRNA(アボーティブ転写産物)を合成する過程 があり、これを阻害するためである。 この巻き戻しはいわゆるの形成 であるが、その際に の-10領域中にRNAポリメラーゼの結合が必要である。 伸長段階においてはRNAポリメラーゼホロ酵素のDNA結合を担う。 滑って移動し、プロモーターに出会うかそのまま遊離する。 これにより、RNAポリメラーゼによる転写を行う遺伝子の発見は加速される。 にして10 10 で、滑らずにDNAへ無差別に結合と解離を繰り返す場合の100倍である。 結合した時の安定性でいえば、解離までのは約60分と長い。 ホロ酵素とプロモーターのはほかの配列と比較して平均約10 7倍であり、コア酵素の平均1000倍にもなる。 プロモーターによって結合定数は10 6〜10 12と幅広く、のような約1秒に1回からのような約30分に1回という転写頻度の違いを生み出す。 それだけではなく、伸長段階への移行に必要なDNAの巻き戻しも担う。 それぞれ70 と43 kDで、右上の番号はに由来する。 多くの種類があるのは、によって適切な遺伝子群を発現するためで、この使い分けは特にを用いた研究によって明らかとなった。 その後ではE、Kと変化し、胞子ではF、Gが使用される。 ハーマン Helmann とチェンバーリン Chamberlin は各領域の機能を以下のように提唱した。 このため、DNAと結合するためにはRNAポリメラーゼコア酵素と結合して、後述する領域2. 4と4. 2のを露出させなければならない。 さらに領域2. 1から2. 4に分類される。 特に重要なのは領域2. 4で、これは-10ボックスに特異的に強く結合する。 DNAとの結合に最適なを形成すると予測されるアミノ酸配列を含んでいるが、実際に-10ボックスを認識することは Richard Losick がので証明した。 領域3はコア酵素とDNA両方の結合に関与する。 領域3と4をつなげる連結鎖は、ほとんどの転写で最初に合成されるとのな結合に関わり 、また、RNA出口通路を塞ぐ の 3 で詳述。 合成されたばかりのアデニンはDNAとの2本の弱いでしか支えられておらず、ホロ酵素との特異的な結合が必要である。 連結鎖を欠いたホロ酵素を用いた実験では、最初の2つのの一方、または両方が通常よりはるかに高でなければ転写が始まらないことが確認された。 領域4は4. 1と4. 2に分けられ、ホロ酵素のプロモーター認識において重要と考えられている。 領域4. 2はというDNA結合を含み、-35ボックスに強く結合する。 真正細菌の伸長複合体 [ ] 伸長段階を実行するDNAポリメラーゼを中心とした複合体のについての研究は、1999年に Seth Darst によるのDNAポリメラーゼ結晶のX線回折像に基づいている。 2008年現在、真正細菌のモデル生物であるのDNAポリメラーゼのX線結晶構造解析には成功していない。 しかしながら、ので観察した大腸菌コアポリメラーゼの全体の形状は酷似しているため、詳細な構造も似ていると考えられている。 真正細菌のコア酵素 [ ] T. Aquaticus のRNAポリメラーゼコア酵素はののようである。 広さ約25 の空間である。 この3つは DDD(Dがアスパラギン酸)に含まれており、全ての細菌で保存されている。 真正細菌のホロ酵素 [ ] 2002年のダーストらのから3つの結論が出された。 1 が欠損しているホロ酵素にはDNAを通す割れ目があったが、それにしては小さい。 このことから、91個のアミノ酸は割れ目をこじ開けてDNAを結合させると推測されている。 2番目で欠損している部位を解釈しているのは、ダーストらは完全なホロ酵素をすることができず、ドメイン1. よって、完全な構造は明らかでないが、その予測はできる。 また、ドメイン1. 1はで約3分の1のがとなるほど酸性アミノ酸が非常に多い。 塩基性アミノ酸が並ぶ活性部位にいかにも強く結合できそうである。 ダーストらはこれを、ドメイン1. 1は小さすぎる入口をこじ開けてDNAを内部に結合させるためと考えた。 そして、内部でDNAはし、ホロ酵素は閉鎖型複合体 になるのと考えられる。 その際にドメイン1. 1は解離し、内部のDNA周辺で活性部位は閉じると考えられる。 この解離は、閉鎖型複合体に保護されていたのが、開放型複合体への移行でドメイン1. 1がにさらされるためのようである。 は閉鎖型複合体のドメイン1. 1が開放型複合体では消えていることを実験で証明した。 3番目の見解には2つの解釈がある。 第二に、ループの連結鎖は転写産物の出口を塞ぐことで、アボーティブ転写産物の形成を行う。 アボーティブ転写産物形成については、連結鎖と開始段階で合成されるRNAは出口を占有するためのをするという仮説がある。 連結鎖が勝つとRNAの伸長は中断され、短いアボーティブ転写産物として放出される。 アボーティブ転写産物は完成した転写産物より過剰に合成される では11倍過剰 ので、この過程はおそらく何度も繰り返される。 約12nt以上にうまく成長できたときにRNAはようやく競合に勝つ。 もしくはコア酵素から解離して伸長への移行に備える。 真正細菌のホロ酵素-DNA複合体 [ ] T. aquaticus のRNAポリメラーゼ伸長複合体。 DNAは青、RNAは赤、活性部位にあるは黄色で示す。 ホロ酵素とDNAによって形成される複合体は、転写時の状態であるため RF複合体 replicative form complex、RFは複製型 と呼ばれる。 ダーストらは下図の フォークジャンクションDNAに T. aquaticus のDNAポリメラーゼホロ酵素を結合させた、RF複合体を作成した。 このDNAは、を含むほとんどが二本鎖だが、中の非鋳型鎖 に-11位から始まる一本鎖の突出部分を持つ。 これは開放型複合体における状態を模倣したものである 詳しくは。 RF複合体の立体構造から、様々な事実が判明した。 4の437および440と相互作用している。 256は直前の-12位に非常に近い。 これらは開放型複合体の-10ボックスの非鋳型鎖に結合することで、プロモーターのに関与すると予測される。 観察されたTrp256の位置から-11位のの代わりとなり、融解を促進する可能性が高い。 2と2. 3における2つの保存されたアミノ酸 237と241 が で結合していることが観察された。 しかし、領域4. 2の残基はに結合していない。 ダーストらは、RF複合体の結晶化の際に、-35ボックスが領域4. 2に対する正常な位置から押し出されてしまったと結論付けた。 ダーストらは自身の撮影したRF複合体の構造やその他の証拠から以下の仮説を提唱した。 DNAの上流で二本鎖DNAが曲がることによって、の標的部位が生じる。 一方、下流領域では二重らせんが融解する。 こうして閉鎖型から開放型へと複合体が移行する。 開放型複合体でのDNAや各タンパク質の相互作用も立体的に解析された。 これによって、DNAのは阻止される。 NTP取り込み通路はであるリボヌクレオチドを触媒活性中心に迎え入れる。 RNA出口通路は後の伸長段階で合成したRNA鎖の部分を出すためにある。 ほかの3つの通路はDNAが出入りするために使う。 下流のDNAは 下流DNA用通路から二重らせんのまま活性中心溝に入る。 非鋳型鎖は 非鋳型鎖用通路(NT通路)を抜けてホロ酵素の表面に沿って進む。 一方、鋳型鎖は触媒活性溝を突き進み、 鋳型鎖用通路(T通路)から外に出る。 2つの一本鎖はホロ酵素の後方にある上流DNAの-11の位置で二重らせんに戻る。 真核生物のRNAポリメラーゼ [ ] 赤 が結合した真核生物のRNAポリメラーゼII。 このはmRNA合成を阻害する。 真核生物にはRNAポリメラーゼ、、といった3種類のRNAポリメラーゼがある。 1969年に Robert Roeder と William Rutter が発見した。 RNAポリメラーゼIIは、タンパク質をコードするmRNAのほか、いまだ謎の多い ヘテロ核内RNA heterogeneous nuclear RNA, hnRNA や大部分の small nuclear RNA, snRNA を合成する。 hnRNAとsnRNAはの合成に関わる。 RNAポリメラーゼIIIはや5S rRNA、前述とは別のいくつかのsnRNAの前駆体を担う。 また、細胞内の分布も別で、RNAポリメラーゼIはにだけ、IIとIIIがにだけ存在する。 しかし、実際にはがあるためさらにDNA結合調節タンパク、いわゆる介在複合体、ヌクレオソーム修飾酵素をはじめとしたいくつかのタンパク質を必要とする。 RNAポリメラーゼIIのサブユニット [ ] RNAポリメラーゼIIのサブユニット構成は、1971年に Pierre Chambon らとラターらのグループから独立に報告された。 この時は不完全だったが、1975年に由来の全てのRNAポリメラーゼから、ローダーらがほぼ完全な情報を明らかにした。 現在では全3種のサブユニットについて正確に判明している。 とにおけるポリメラーゼIIの12個のサブユニットについて下の表にまとめた。 これらは各々単独のにコードされている。 各サブユニットの名前はその遺伝子の名前に由来する。 RPBという名称は、シャンボンが用いたRNAポリメラーゼB すなわちII という呼び名にちなむ。 リチャード・ヤング Richard Young はで同定した10個のサブユニットを3つに分類した。 真正細菌のRNAポリメラーゼコア酵素に構造・機能ともに類似する コアサブユニット、少なくとも酵母では3種類の核内RNAポリメラーゼ全てにある 共通サブユニット common subunits 、必ずしも酵素活性にいつも必要ではない 非必須サブユニットの3つである。 の結果から、Rpb1サブユニットには215 kDの II aと240 kDと測定された II oの2つの形態が存在する。 II aのC末端には CTD carboxyl-terminal domain と呼ばれる、7個のアミノ酸( heptad)から成る共通配列 ----Ser-Pro-Ser が反復した配列がある。 II oはCTDのを持ったアミノ酸(セリン、スレオニン、チロシン)がしたものである。 しかし、のhaptadは52回反復するが、これが全てリン酸化したとしてもII aとII oの分子量差を埋めることはできない。 実際の分子量が大きく見えるよう、が遅くなるよう、リン酸化はの変化を引き起こすと考えられている。 異なるRpb1サブユニットを所有するRNAポリメラーゼIIをそれぞれ RNAポリメラーゼIIA RNA polymerase IIA および RNAポリメラーゼIIO RNA polymerase IIO と区別する。 前者はに最初に結合するときの形態で、後者は伸長反応を行う。 ヒトと酵母におけるRNAポリメラーゼIIのサブユニット サブユニット 酵母遺伝子 酵母タンパク質の(kD) 特徴 hRPB1 RPb1 192 コアサブユニット。 CTDを含み、DNAと結合する。 プロモーターの選別に関与。 hRPB2 RPb2 139 活性部位を含むコアサブユニット。 プロモーターの認識と伸長速度に関与。 hRPB3 RPb3 35 コアサブユニット。 hRPB4 RPb4 25 非必須サブユニット。 Rpb7と複合体を形成し、ストレス応答に関与する。 hRPB5 RPb5 25 共通サブユニット。 の標的。 hRPB6 RPb6 18 共通サブユニット。 複合体形成と安定化に寄与。 hRPB7 RPb7 19 のRpb4と複合体を形成。 hRPB8 RPb8 17 共通サブユニット。 /結合。 hRPB9 RPb9 14 伸長に関与する可能性があるを含む。 プロモーターを認識。 hRPB10 RPb10 8 共通サブユニット。 hRPB12 RPb12 8 共通サブユニット。 RNAポリメラーゼIIの立体構造 [ ] ロジャー・コーンバーグらは2001年に の結果を発表した。 これは転写を開始できないが、伸長反応は問題なくできる。 全体の構造は巨大なのようで、のDNAをくわえる深い溝がある。 このため残りの酵素表面は酸性であるのに対し、溝には残基が並ぶ。 上顎はRpb1とRpb9、下顎はRpb5である。 底の触媒活性中心には2個のがあり、コーンバーグらは メタルA metal A と メタルB metal B に区別した。 メタルAはRpb1のD481、D483、D485といった3個のと強固に結合している。 一方、メタルBはRpb1のD481、Rpb2の836とD837に囲まれているものの、するには距離がある。 触媒反応の過程でこれら酸性アミノ酸が近づくと考えられる。 メタルBはのリボヌクレオチド三リン酸と結合する。 真正細菌同様、RNAポリメラーゼIIにも ポア1 pore 1 という、合成したRNAを出す出口が存在する。 漏斗状のポア1外縁には、出てきたRNAを切断すると結合するアミノ酸が並ぶ。 プロモーターは酵素表面でほどかれ、相補鎖を外に残して鋳型鎖が溝の中へ誘導される。 RNAポリメラーゼIIの伸長複合体 [ ] コーンバーグらはDNAと合成したRNA両方と結合したRNAポリメラーゼIIの撮影にも成功した。 単独でクランプモジュールは開いて外から活性中心に近づけたが、伸長複合体のクランプモジュールは閉じ、鋳型鎖と転写産物を覆う。 後述するように、転写中のDNAは内部で折れ曲がらなければならない。 しかし、転写が開始する前のDNAは比較的強固なまっすぐな構造をしている。 最初にDNAを入れるときは開いているが、途中からDNAが酵素から離れないように閉じるのである。 メタルAは、最近付加された2つのリボヌクレオチド間のに結合できる位置にある。 活性中心の近くには溝にまたがった ブリッジヘリックス bridge helix が観察される。 まっすぐに伸びた状態ではのリボヌクレオチド三リン酸が入れるようポア1は開いている。 一方で、Thr831と832の付近で曲がる状態もあり、活性中心は閉ざされる。 内部のDNAは入口の所でその先にある壁のために無理やり曲げられる。 酵素表面でほどかれた鋳型鎖はRNAと二重らせん形成するが、この長さは ラダー rudder, 舵 と呼ばれるタンパク質が障害物となり9bpに制限される。 それ以上付加されると、塩基対形成している最後のリボヌクレオチドがDNAから離れ、RNAの出口から抜け出す。 DNAも別の出口で脱出し、鋳型鎖と非鋳型鎖は二重らせんに戻る。 RNAポリメラーゼの進路、DNAの下流を前とするなら、後ろの壁から上にRNA・DNA出口が、下にポア1が開いている。 注釈 [ ]• 「ポリメラーゼ」は、より英語発音に近い「ポリメレース」と表記されることもある。 この直鎖の末端はがかかでそれぞれN末端、C末端と区別する。 RNAポリメラーゼおよびDNAポリメラーゼの酵素活性、すなわち転写とDNA複製はN末端からC末端へと進む。 したがって、タンパク質のアミノ酸構成を示すとき、N末端を左に順番にアミノ酸を書き並べる。 この中の特定のアミノ酸の位置および区間はN末端から数えた番号で示す。 開始段階では、RNAポリメラーゼがホロ酵素を形成してDNAのに結合する。 初め、DNAは二重らせんを形成したままで、このときのホロ酵素を閉鎖型複合体と呼ぶ。 その後、二重らせんはほどかれ、開放型複合体になる。 アボーティブ転写産物と呼ぶ数ヌクレオチドのRNAが合成される。 伸長段階に入って遺伝子が本格的に転写される。 まず、DNAポリメラーゼは二重らせんDNAに結合してする。 次に巻き戻しを行うが、このとき一本鎖DNAとホロ酵素とを開放型複合体と呼ぶ。 転写されるほうを 鋳型鎖、されないほうを 非鋳型鎖と呼ぶ。 出典 [ ]• 『ウィーバー 分子生物学』、化学同人、著者:Robert F. Weaver、監訳者:杉山弘、2008、p136• 『ウィーバー 分子生物学』、p137• 『ウィーバー 分子生物学』、p155• 『ワトソン 遺伝子の分子生物学第6版』、p385• 『ストライヤー生化学(第6版)』、東京化学同人、著者:Lubert Stryerほか、監訳者:入村達郎ほか、2008、p811• 『遺伝子第8版』、p338• 『ウィーバー 分子生物学第4版』、p146• 『ウィーバー 分子生物学第4版』、p150• 『エッセンシャル遺伝子』、著者:Benjamin Lewin、訳者:菊池韶彦、発行:東京化学同人(2007)、p175• 『遺伝子第8版』、p225• 『ウィーバー 分子生物学第4版』、p165• 『ウィーバー 分子生物学第4版』、p273• 『ワトソン 遺伝子の分子生物学第6版』、p397• the Annual Review of Genetics, Volume 34, 2000 by Annual Reviews• 『ウィーバー 分子生物学第4版』、p280•

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機能性RNA(きのうせいRNA/きのうせいあーるえぬえー)とは

機能性rna

はじめに は、広範囲な細胞タイプにおけるタンパク質機能を解析するために遺伝子発現をノックダウンする手法で、細胞の基礎生物学を研究するための非常に強力なツールです。 以前は限定された研究室のみで使用されていたRNAi 技術ですが、現在では遺伝子機能研究に欠かせないものとなっています。 本技術は、タンパク質ノックダウン研究、表現型解析、機能回復、パスウェイ解析、in vivoノックダウン、および創薬ターゲット探索のための卓越したツールになっています。 今回は、RNAiとノンコーディングRNAについてまとめましたのでご紹介します。 RNAiの一般用語集 リボ核酸干渉(1998年にA. Fire and C. Melloらが初めて実施)。 短い干渉RNA。 合成siRNAを哺乳類細胞に導入することにより、RNAiが誘導されます。 また、siRNAには内在性前駆体由来のものもあります。 shRNA 短いヘアピンRNA(短い干渉ヘアピン)。 shRNAは、安定した遺伝子サイレンシングに用いられるsiRNAを供給するためのベクターベースのアプローチに用いられます。 強力なPol III系プロモーターは、細胞内siRNA機構において、様々な長さのヘアピン型およびループ型のRNAを形成するようにデザインされたターゲット配列の転写を開始させるために用いられます。 shRNAが細胞内に導入されると、RNAiによって相補配列の遺伝子発現が減少します。 miR RNAi RNAiを引き起こすためのmicroRNAを発現させるためのベクター。 miRNAは、19~23 ntの一本鎖RNAで、不完全な塩基対で形成されるヘアピン構造を特徴とする一本鎖の前駆体転写物から生じます。 miRNAは、RISCと同一ではありませんが類似したサイレンシング複合体中で機能します(図1参照)。 化学的改変siRNA 化学的に改変されたsiRNA分子。 RISC RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)。 タンパク質とsiRNAから構成されるヌクレアーゼ複合体で、RISC複合体内に取り込まれたsiRNAは相補的な内在性mRNAを標的として切断します。 オフターゲット効果 特定のターゲット遺伝子以外の1個または2~3個の遺伝子に生じる効果で、siRNAまたはd-siRNAプールの導入後に遺伝子機能の抑制がみられます。 この効果は、siRNAのセンス鎖によって媒介され、意図しない遺伝子の機能喪失を開始させます。 標的とは無関係な遺伝子の発現がノックダウンされるのに十分な相同性がある場合は、オフターゲット効果が特定のsiRNAのアンチセンス鎖の二次的効果として生じることもあります。 の作用機序 RNAiには、2タイプのsmall RNA分子が用いられます。 1つは、 合成された短い干渉RNA(siRNA)分子で、mRNAの切断をターゲットとして、目的遺伝子の発現を効率的にノックダウンします。 RNAiを誘導するためには、合成分子、RNAiベクター、およびin vitro dicingを用いる複数の方法があります(図1参照)。 哺乳類細胞では、dsRNAの短い断片—短い干渉RNA—がターゲット細胞内mRNAの特異的分解を開始します。 このプロセスにおいて、siRNAのアンチセンス鎖は多タンパク質複合体またはRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)の一部となり、その後、対応するmRNAを同定し、特異的部位で切断します。 次に、この切断が繰り返されることでmRNAが分解され、最終的にタンパク質の発現抑制が起こります。 図1 哺乳類細胞におけるRNAiノックダウン法 RNAポリメラーゼIIおよびIIIはともにmiRNAが含まれる遺伝子を転写して、長い一次転写産物(primiRNA)を生成し、これがRNase III型酵素のDroshaによってプロセシングされ70~90 bpのヘアピン構造(pre miRNA)が生じます。 Pre miRNAヘアピンは細胞質に輸送され、RNase IIIタンパク質のDicerによって19~22ヌクレオチド長の短いmiRNA二本鎖までプロセシングされます。 miRNA二本鎖はRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)と呼ばれる 多重タンパク質ヌクレアーゼ複合体によって認識されますが、この時、二本鎖のうち一方の鎖であるガイド鎖がこのタンパク質複合体が相補的なmRNA転写産物を認識するように導きます。 図2 miRNAの生合成と機能。 RNAポリメラーゼIIおよびIIIによって生成したmicroRNA転写産物は、RNaseIII酵素のDrosha(核内)とDicer(細胞質内)によってプロセシングされて19~22ヌクレオチドのmiRNA2本鎖を生じる。 この二本鎖のうちの一方の鎖はタンパク質発現を調節するRISC複合体に組み込まれる。 実験アプローチの選択 RNAi (RNA干渉)のプロセスはsiRNAまたはmiRNAによって緩和できます。 これらはいずれもDicerと呼ばれる酵素によって細胞内でプロセシングされ、RISC(RNA誘導サイレンシング複合体)と呼ばれる複合体に組み込まれます。 しがしながら、この2つにはわずかな違いがあります。 siRNAは、外来二本鎖RNAで、化学合成され、細胞に直接導入されるか、siRNAの前駆体である短いヘアピンRNA(shRNA)を発現するベクターを導入することによって細胞内で産生されます。 一方、 miRNAは一本鎖RNAで、より大きいRNA分子のイントロン内に存在する内在性ノンコーディングRNAです。 しかしながら、shRNAから機能性siRNAへのプロセシングは、mRNAの安定性、翻訳、およびクロマチン構造を調節することによる遺伝子発現の細胞内調節の役割を持つ、ゲノムにコードされたmiRNAが自然にプロセシングされるのと同じ細胞内RNAi機構を介して行われます(Hutvagner and Zamore, 2002)。 siRNAとmiRNAの他の違いとしては、siRNAは一般的に動物におけるmRNAターゲットに完全かつ特異的に結合するのに対し、miRNA はそのペアリングが不完全であることから、多くの異なるmRNA配列の翻訳を阻害することが挙げられます。 植物において、miRNAはより完全に相補的な配列を持つ傾向があり、単に翻訳を阻止するのとは対照的にmRNA開裂を誘導します。 siRNAとmiRNAはいずれもRNA誘導転写サイレンシング(RITS)と呼ばれるプロセスを介してエピジェネティクスに関与します。 さらに、これらはいずれも遺伝子発現を制御する役割を担うため、治療用途の重要なターゲットです。 表 siRNAとmiRNAの特徴 発生 植物および下等動物で自然発生します。 哺乳類で自然発生するかは解明されていません。 植物および動物で自然発生します。 正確ではないため、1つのmiRNAは最大数百のmRNAをターゲットとします。 生合成 siRNAを発現する遺伝子と同じ遺伝子を調節します。 miRNAを作製する目的の遺伝子によって発現されますが、miRNAを発現する遺伝子以外の遺伝子(mRNA)を調節します。 作用 mRNAの切断 mRNAの翻訳阻害 機能 抗体や細胞媒介性免疫を持たない植物および動物における遺伝子サイレンシングの監査役として機能 遺伝子(mRNA)の調節因子(阻害剤) 用途 siRNAは、ほぼ全ての分子生物学研究室で使用されている、遺伝子をノックダウンするための有用な実験室ツールです。 いくつかのsiRNAが有望な治療薬として臨床試験中です。 薬剤ターゲットまたは薬剤自体としての治療用途が有望です。 miRNAの発現レベルから、診断ツールおよびバイオマーカーツールとしての使用が有望視されています。 【無料ダウンロード】RNAiハンドブック 機能喪失研究のためのsiRNAやmiRNA用のツール、ワークフロー、アプリケーションがわかるハンドブックです。 PDFファイルのダウンロードをご希望の方は、下記ボタンよりお申し込みください。 研究用にのみ使用できます。 診断目的およびその手続き上での使用はできません。

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